お手伝いしているスポーツバイク専門店向けに、小さなWebツールを作りました。
スポーツバイク初心者の方が7つの質問に答えると、「あなたにはこのタイプが向いていそうです」と候補を提案してくれる診断ツールです(実際のツールはこちらからご覧いただけます)。
大きなシステムではありません。ただ、こういう小さなツールほど「なぜ作ったのか」「どう考えて設計したのか」を残しておくと、あとから役に立ちます。
今回はその記録を書いておきます。
なぜ作ったのか
きっかけは、Instagram運用をお手伝いしているスポーツバイク専門店でした。
スポーツバイクは、初心者からすると入口がとても分かりにくいジャンルです。ロードバイク、グラベル、クロスバイク、MTB、Eバイク。名前は聞いたことがあっても、自分にどれが合うのかまでは分かりにくい。
店頭で店員さんに一から聞くのも、知識ゼロの状態だと少しハードルがあります。
そこで、接客の前段階で「なんとなく方向性が見える」入口があると良いのではないかと考えました。お客さんは相談しやすくなる。店員さんも話を始めやすくなる。InstagramやLINEから気軽に案内できる導線にもなる。
つまり、売るためのツールというより、会話のきっかけを作るためのツールです。
この立ち位置を最初に決めておいたことが、結果的に一番大事だったと思います。
作るときに意識したこと
1.断定しすぎない
診断ツールというと、つい「あなたにはこれです」と言い切りたくなります。でも、自転車は安い買い物ではありません。最後は実物を見て、またがって、店員さんと相談しながら決めるものです。
だから結果画面では、「これに決まりです」ではなく、「こういう選択肢がありそうです」という柔らかい提示にしました。1位だけでなく、2位の候補も同じように表示するようにしたのも同じ理由です。決めつけられた感じを減らし、比較しながら考えられるようにしたかったからです。
最終的に背中を押すのは店員さんであって、ツールではありません。ツールが出しゃばりすぎないこと。ここは地味ですが、大事にしました。
2.あとから直しやすくする
作りっぱなしのツールは、時間が経つと使いにくくなります。商品は入れ替わります。価格も変わります。在庫がなくなることもあります。
なので、商品データと診断ロジックは、あとから見直しやすい形にまとめました。「どこを直せば反映されるのか」が分かるようにしておく。これは派手な作業ではありませんが、長く使うものほど大事です。
半年後の自分や、別の人が触ったときに迷わない。そういう状態にしておくことも、実務ではかなり重要だと思っています。
3.更新が続く形にする
最初は手作業でファイルをアップロードしていました。ただ、商品を差し替えるたびに毎回手作業でアップするのは、続きません。続かない運用は、結局使われなくなります。
そこで最終的には、変更を反映しやすい公開の仕組みに切り替えました。変更した内容を送ると、自動で公開先に反映される形です。ここは少し手間取りましたが、一度整えると今後の更新がかなり楽になります。
小さなツールでも、運用まで考えて作る。ここは今回かなり意識しました。
実際に作った内容
質問設計
質問は7問にしました。最初の1問だけは複数回答にして、やりたい乗り方を選べるようにしています。一方で、相性の悪い選択肢は選べないようにして、診断結果が極端にブレないようにしました。
残りの質問は1問ずつ進む形です。スマホで見たときに、親指だけでテンポよく進められることを優先しました。
結果の出し分け
回答内容に応じてスコアを計算し、上位2タイプを表示します。たとえばロードバイク系でも、スピード重視なのか、快適性重視なのかでおすすめの方向性は変わります。このあたりは、お店の品揃えや接客の流れに合わせて調整しました。
見た目のトーン
見た目は、少し無骨なガレージっぽい雰囲気にしました。広告っぽくしすぎると、診断というより売り込みに見えてしまいます。きれいに作りすぎるより、少し手作り感があるくらいの方が、今回の目的には合っていました。
ツールの役割は、あくまで相談の入口です。そこに合うトーンを意識しました。
公開まわり
一番手こずったのは、公開の仕組みです。最初に考えていた方法がうまく動かず、何度か回り道をしました。最終的には、更新しやすく、公開先にも反映しやすい形に落ち着きました。
こういう部分は、動かない理由を一つずつ確認していくしかありません。焦ってその場しのぎの対応をすると、あとから更新しづらくなります。遠回りに見えても、きちんと組み直した方が、結果的には楽になります。
作ってみて思うこと
完成したツール自体は、とてもシンプルです。7つの質問に答える。結果が出る。気になるタイプを見ながら、お店に相談する。それだけです。
でも、シンプルなものを「現場で長く使える形」にするには、思っている以上に考えることがあります。
- 断定しすぎない言葉。
- あとから直しやすい構造。
- 続けられる更新の仕組み。
- InstagramやLINEから案内しやすい導線。
表に見えない部分にこそ、時間を使いました。
今回の目的は、きれいなツールを作ることではありません。お客さんと店員さんの会話を少し始めやすくすることです。小さなWebツールでも、使う場面をはっきりさせると、現場の不便を少し減らせます。
こういう「ちょっと困っている」を整理して、必要な形にする。街のデジタル相談所として、これからもそういうものを作っていきたいと思います。
ツール作成のご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。


